「家族を介護する人」の健康問題と睡眠ケアのすすめ

ご家族の介護をしている方へ

ご家族の介護をするようになって、また、長く続けるにつれて、
なんとなく調子が悪い、常に腰が痛い、肩こりが辛い、気持ちが落ち込むことが多くなった、血圧が高くなった・・・など、こころからだの変化を感じることはありませんか?

家族の介護をする家族

介護をする人(家族介護者)は、介護によって抱える肉体的・心理的ストレスにより、介護をしていない人に比べてこころとからだの健康を低下させている傾向があります。

介護をする人の健康低下については国内外の多くの研究で明らかにされていることであり、また、私が2010年に主介護者(177名)に対して行った質問紙調査においても、主観的な健康感は一般に比べて明らかに低く、また半数以上の方にうつ傾向が見られました。

できれば気持ちよくご家族の介護に向き合いたいと思っていらっしゃる方は多いと思います。
でも、そういう気持ちになれない。体も辛い。もどかしい・・・。

先の見えない長期にわたる介護をしなければならない環境にあって、健康を維持しながらイキイキと生活していくにはどのようなことを考えていけばよいのでしょうか。

ここでは介護をする人の「睡眠」にフォーカスしたいと思います。

不調の大きな原因の一つが、あなたの睡眠にあるかもしれないからです。

介護をする人は睡眠時間が短く、睡眠の質も悪い?

一般的に、介護をする人は睡眠時間が短くなります。

被介護者(介護を受ける人)は、夜間にも介護を必要とする場合があり、介護をする人にとっては継続した深い睡眠がとりづらいと考えられます。また介護による精神的なストレスも、介護する人の不眠の原因となります。

アメリカのベイラー大学が行った、認知症の方を介護する介護者の睡眠の質と時間に関する研究35件(3268人の介護者)の分析では、認知症の方の介護をしている人は、同年代で介護をしていない人に比べて睡眠時間が週に約2.5~3.5時間短かったこと、また睡眠の質も悪いことが明らかになりました(2019年発表)。

介護をする人は、睡眠時間が短いのと同時に、睡眠の質においても比較して良くないことが多いようです。

良い睡眠をとることは、身体的な疲労の回復だけでなく精神的な脳機能の回復を促しますので、介護する人の健康を考える上で、睡眠の状態を改善するということは、ひいては健康・健康感の向上につながると考えられます。

上記、ベイラー大学の研究では、睡眠に関するケアを受けた介護者は、受けていない介護者に比べて睡眠の質が改善していたことも明らかにしています。

ここでの睡眠に関するケアとは、

  • 毎日の就寝時間を規則正しくする
  • なるべくリラックスするようにする
  • 朝に日光を浴びる
  • 適度な運動を行う

などのシンプルな行動介入のことで、それにより介護者の睡眠を改善できると言っています。

そのようなことに意識して取り組むことを考えてみてください。

介護の負担を減らすために

「それはわかってはいるんだけど・・・」

こんな声が聞こえてきそうです。

例えば、日中の身体活動や運動を行う機会を適度に取ることは、夜間の快眠のための有効な手段の一つです。ですが、介護をする人には、介護することに時間やエネルギーを取られそのようなことを行う機会や意欲がなかなか持てないという特有の問題があります。

2000年の介護保険制度開始から20年が経過し、介護保険外の自費利用のものも含めて、現在は様々な種類の介護サービスが提供されています。

介護サービスは介護される人のためもありますが、レスパイトケアとして介護者の負担軽減のためのサービスでもあります。

ぜひとも各種介護サービスを活用し、心身共にリラックス、リフレッシュできる時間、また、夜間にゆっくりと眠りのための時間を取ることができる状況など、なるべくたくさん確保していただきたいと思います。

それから、介護は家族の中の誰か一人で背負い込まないということもとても大事です。
一人で背負い込むことが、いわゆる「介護負担感」を増大させ、こころとからだの健康を損ねることにつながります。

時間確保のためにも、別居している家族も含めて、なるべく複数人で助け合って分担していきたいところです。

前向きに介護に取り組めるようにご自身の睡眠を見直しましょう

介護をする人の健康や健康感には、その方の睡眠の状態が大きく関わっていると考えられます。

介護を始めてから、なんだかスッキリしない、体調が悪いと感じる日が続いている、気持ちが落ち込みやすい、慢性的な肩こりや腰痛があるなどという方は、まずはご自身の睡眠の状況から見直していただきたいと思います。
良い睡眠を取ることができるようになることで、それらの不調が改善してくるかもしれません。

介護をする人が元気になると、介護をされる人も元気になり、そこに好循環が生まれます。
あなたの元気がご家族の元気につながります。

その意味でも、ぜひご自身の元気をつくることに前向きに、意識して取り組んでみてください。

投稿者プロフィール

秋元誠吾
秋元誠吾
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師、スポーツ科学修士
早稲田大学睡眠研究所 招聘研究員

東洋医学的な身体観に惹かれ、早稲田大学人間科学部卒業後は鍼灸マッサージ師を志し、資格を取得。
これまで、主に介護が必要な方への施術をのべ1万5千人以上に行うと同時に、介護の現場に携わる多くの施術師育成の実績を持つ。
現在は高齢者の睡眠改善のための身体ケアについての研究と実践にも取り組んでいる。

プライベートでは、趣味と実益(メタボ予防と自身の将来の介護予防)を兼ねて、学生時代に熱中した空手を数年前に再開。
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