片頭痛・緊張型頭痛の東洋医学的原因【氣の不足と頭痛】(頭痛コラム④)

こんにちは!CINQ頭痛鍼灸コースを担当している萱間です。
物価の上昇やコロナウィルス感染者の増加、異常な暑さなど、様々な人々を悩ます昨今の世の中です。そのような悩みの原因を表現する慣用句に「頭痛のタネ」がありますが、悩みやストレスは本当に頭痛のタネ(=原因)と成り得るのでしょうか。
今回は、片頭痛・緊張型頭痛の原因を東洋医学的に紐解いていきます。
東洋医学の基本は氣(き)で考える
東洋医学では、私達の体は、氣・血・水(き・けつ・すい)という生理物質が正常な量を保ち機能することにより、生命活動を営むことができると考えます。

その生理物質のうち、もっとも基本になるものが「氣」です。したがって、氣がどのようなバランスにあるのかという観点で人体をみるのが東洋医学の基本となります。氣が満ち足りてよく巡っているのが健康な状態と言うこともできます。
頭痛は氣の詰まり、首のこりは氣の滞り
それでは、頭が痛いという状態や、頭痛が出やすい原因である首のこりがある状態は、氣でどのように表現されるのでしょうか。非常にシンプルです。
頭が痛いという状態は氣が巡らずに上に詰まった状態です。また、首のこりがある状態というのは、首のところで氣が滞ってしまっている状態であるとみます。
そうすると、頭痛の原因というのは、氣が巡らずに詰まった状態や、氣の滞りなどを生み出したことと言い換えることができます。
「詰まり」「滞り」の原因は氣の不足
では、どうして私達の体の氣は巡らずに詰まったり、滞ったりしてしまうのでしょうか。
巡らないことも滞りができることも、ざっくりいうと同じ意味と捉えてかまいません。
ほとんどのケースでは、氣が足りずに起こっています。氣の総量が足りずに、うまく流れることができずに詰まったり滞ったりしてしまうのです。それでは、日常ではどのような時に氣が足りなくなってしまうのでしょうか。
悩みやストレスは氣の不足につながる
悩みというのは、答えを探して考え続ける行為です。人は肉体的な活動を行うにしても、精神的な活動を行うにしても、氣を消耗します。したがって、悩みのように考え続けるという精神的な営みは、大変な氣の消耗につながります。
また、ストレスがかかると、人は自然とそれに対抗しようと心と体を準備します。当然、ストレスに対処するのにも氣が消耗されます。
このように、悩みもストレスも氣の消耗につながり、その頻度が多ければ多いほど、また期間が長ければ長いほど氣が不足し、氣の巡りの悪さや滞りをおこしやすくなります。
身近な環境である、職場や家庭での悩みやストレスは氣の消耗の原因となり、立派な頭痛の原因として東洋医学では考えることができます。
天気や食べ物も氣の不足につながる
東洋医学では、私達の体も氣のかたまりであると考えます。
これは氣という旧字の構成によく表されています。氣をつくっている气(きがまえ)はお米を炊いたときの蒸気を表し、これが転じて空気や雲といった天気や季節、さらには周りの環境の移ろいゆくものを表します。「雰囲気」なども氣なのです。東洋医学では天の氣、と言います。
また、氣をつくっている米は、穀物、植物など、地上から出てくる食べ物を表します。東洋医学では地の氣、と言います。このように、呼吸をし(天の氣をとりいれる)、食事をする(地の氣をとりいれる)ことによって私達の体は出来上がっていることを氣の文字はよく表しています。

私達の体は氣のかたまりであるため、天候(天の氣)や食べ物(地の氣)の影響を当然受けます。気圧の変化というのは刺激になるので、氣が足りていないとこの刺激に対する適応力が発揮できません。また、氣が足りていないと食べ物から必要な栄養を吸収できないので、新たに氣を生成することも難しくなります。氣が足りていないと、食べた物から不要なものを排泄する能力も落ちてしまいます。
前述したように、家庭や職場といった身近な環境だけでなく、天候など自然界も含めた身の回りの影響を私達は常に受けています。したがって、あらゆることが頭痛の原因と成り得えます。
そして、氣が満ち足りてめぐっていると、そのような環境変化のうち、小さなものは影響を受けずにいられ、また、大きな変化でも柔軟に対応することができるのです。

いかがでしたでしょうか。細かくいうと、血や水の働き、さらには五行や五臓という観点での説明になるのですが、原理は氣です。CINQの頭痛鍼灸コースでも、まずはどのようなことが氣の消耗につながっているのか、丁寧にお話を伺いながら一緒に探します。
氣が消耗してしまっているのならば、どのように増やしていけばいいのか?
これはまた次回、セルフケアの仕方で説明させていただきますね。お楽しみに!
投稿者プロフィール

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鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・医学博士・慶應義塾医学部漢方医学センター非常勤講師
慶應義塾理工学部物理学科→製薬会社→鍼灸師・鍼灸学校教員→学位取得→独立
鍼灸のある風景を探していたら学校教員から学位取得まで至りました。現在は自分なりの鍼灸のある風景を実践するために、自由が丘で間借り開業をするかたわら、慶應義塾大学病院やCINQでの診療、専門学校講師をしています。
症状はからだと心のサインです、東西医学の観点から、根治あるいは症状緩和への道のりをサポートしていきます。
料理が好きなのですが、時間がないのでYoutubeでレシピ動画をみてエアクッキングをするのがマイブーム。
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