睡眠をとりまく環境の変化と体のケアの必要性

現代の社会のストレス

現代社会は、情報で満ち溢れています。また、情報へのアクセスも瞬時にできるという意味では、とても便利な社会になっていると思います。

しかし一方で、誰もがこのような社会に適応していくということが難しくなっている一面もあります。


例えば、私(1956年生まれ)が医者になったばかりの頃には、文献を調べるためには図書館や図書室に行く必要がありました。したがって、調べたいことが金曜日の夜にあっても、月曜日までは待たなければならなかったわけです。

また、子供の頃には、朝お父さんが仕事に出ると、夜帰ってくるまで連絡を取るのは難しいことでした。必要がある場合には、会社に電話をして呼び出してもらうか、もし外に出ていれば、どうしても必要なら出先に電話するわけですが、通常は難しい事です。

このように、「昔」は、物事はとてもゆっくり進んでいたわけです。


しかし、現代では文献はオンラインで簡単に調べることができます。したがって、働こうと思えば土日でも夜中でもできるわけです。そこに競争があれば、やったほうが勝ちということになります。

こうして、過剰な労働ができる状況が生まれてしまっています。また、そのような状況に適応することが人々に求められるわけです。

日本人の睡眠時間は短い

そのような中で、睡眠時間は確実に減っています。総務省統計局のデータを示します。

平均睡眠時間の推移なるほど統計学園より引用


このように、私が 20 歳のときの昭和 51 年から比べても、日本人の平均睡眠時間が減少していることがわかります。

更に日本人の睡眠時間は、海外の国々と比べても、短いことが知られています。

各国の睡眠時間の平均ニッセイ基礎研究所より引用


これは、OECD による 2018 年の調査の結果ですが、日本は他の国に比べても睡眠時間が短いことがわかります。

OECD の平均が 500 時間以上、つまり 8 時間を超えていることはしっかりと認識したいところです。

睡眠時間が短いとどうなるか

徹夜をしたことがある人は、睡眠時間が短いとどうなるかをよく知っていることと思います。頭はボーッとして、イライラもあると思います。集中力は低下して、物事をテキパキと進めることが難しくなります。間違いも多くなることでしょう。

結局、一つの仕事をしっかりやるのに余計に時間がかかる結果となります。このようなことは、様々なデータが示しています。


また、睡眠時間が短いとうつ病になりやすいということも知られています。長く睡眠を研究し、多くの患者さんを診療してきた私にとってはこれはいわば当たりまえのことです。

前の日にたっぷりと 10 時間も眠って次の日会社に行き、退社間際に上司が今日中にやってくれないかと仕事を持ってきても頑張ろうという気になると思いますが、前日 2 時間の睡眠で、退社時刻が近づいたら早く帰って寝ようと思っているときであれば、大変なストレスに感じてしまいます。

つまり、同じ事が起きても自覚的なストレス度は睡眠時間によって異なっているということです。
睡眠時間が短い人、よく眠れていない人は同じ生活でも毎日のストレス度が上がってしまうということです。

睡眠時間の確保と体のケア

このようなことから、睡眠時間を確保することは毎日の生活をより快適にするために、欠かせないことだということがわかると思います。しかし、忙しい毎日、そして情報に溢れた毎日の生活の中で、昔のような生活をするということは現実的に不可能です。

したがって、睡眠の質を上げていくことももう一つとても大事なことです。
そのためには、体のケアも欠かせません。

生活の3つの要素として、睡眠・食事・運動がありますが、良い食事をとり、適度な運動をすることは睡眠の質を向上させます。
そして、これらを更に補うためのケアとして、鍼灸マッサージがあるわけです。


眠れない人が、私のクリニックには多く見えます。そして、そのような方は背景に様々な悩みがあるということがあります。

薬によって眠れるようにすることは、一時的には効果があります。

しかし、その背景にある悩みや、それだけでなく、よりよい生活の指導をし、体のケアをすることが、ストレスに負けない(ストレス耐性の高い)体を作り、睡眠を改善し、そして様々な悩みにも対応していける状態を作っていけるのだと思っています。

投稿者プロフィール

内田直
内田直
さいたま市立本太中学校・埼玉県立春日部高等学校・滋賀医科大学卒業後、東京医科歯科大学神経精神医学教室にて臨床精神医学、睡眠医学の診療を学ぶ。東京医科歯科大学にて睡眠研究をスタートし、1990年から1992年はカリフォルニア大学デイビス校(UC Davis)の客員研究員。帰国後、東京都精神医学総合研究所(現在の東京都医学総合研究所)にて、副参事研究員・睡眠障害部門長を務める。このときに、睡眠研究と障害者スポーツについての研究も行った。

2003年より新設の早稲田大学スポーツ科学学術院教授。また、2002年の日本スポーツ精神医学会設立メンバーの一人でもある。運動が睡眠に及ぼす影響、国際的に活躍するアスリートの時差対策、うつ病の運動療法などについての研究を行う。

2017年3月に60歳で選択定年退職し、すなおクリニックにて臨床睡眠医学・臨床精神医学の診療に専念する。すなおクリニックは、睡眠障害を専門としながら、その背景にある様々なメンタルヘルスの問題をも同時に総合的に治療を行うことを特徴としている。また、治療に生活の改善、運動、そして体のケアを取り入れることを積極的に行っている。
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